竹取物語 現代語訳 燕の子安貝 (二)

竹取物語 現代語訳 燕の子安貝 (二)

訳者まえがき

 

ここに掲示されている訳は「逐語訳」です。

 

直訳に近いので、不自然な文章になっている部分があるのはそのためです。

 

高校生時代の授業の記憶や古語辞典を頼りに訳しています。

 

 

竹取物語 五つの難題・燕の子安貝 第二回です。

 

 

本文
倉津麻呂(くらつまろ)が申し上げることには、

 

「この燕(つばくらめ)の子安貝は、下手な計画でお取らせになさっています。

 

そのままでは、取らせることはおできにならないでしょう。

 

足場に仰々しく二十人も人が登って待機しているのでは、離れて寄っても来ないでしょう。

 

おさせになさることは、この足場を壊して、人をみな退出させて、まめな人を一人、

 

荒籠に乗せて座らせて、それを網で吊り下げて待機させ、燕が子を産もうとする間に、

 

網を吊り上げさせて、さっと子安貝をお取りにならせると、よろしいでしょう」

 

と申し上げます。

 

中納言がおっしゃることには、

 

「それは名案だ」

 

と言って、足場を壊し、使用人はみな帰って参りました。

 

 

中納言は、倉津麻呂におっしゃることには、

 

「燕が、どういったときに、子を産むときがわかるのでしょうか、

 

そして人を上に上げたらいいのでしょうか」

 

とおっしゃいます。

 

倉津麻呂が申しあげることには、

 

「燕は、子を産もうとするときは、尾を高く上げて七度回したときに、籠を引き上げて、

 

そのときに、子安貝をお取らせになさいませ」

 

と申し上げます。

 

中納言は、お喜びになって、誰にもお知らせにならないで、こっそりと

 

大飯寮(おおいつかさ)にいらして、そこで働く男たちに交じって、夜だろうと昼だろうと

 

お取らせになさろうとしました。

 

倉津麻呂がこのように申し上げてくれたことを、たいそうお喜びになっておっしゃいます。

 

「ここにはわたしの使用人でもないのに、願いをかなえてくれることが嬉しい」

 

とおっしゃって、お召し物を脱いで肩に担いで褒美としてお与えになりました。

 

「改めて、夜に、この大飯寮に参上しなさい」とおっしゃって、お帰しになりました。

 

 

日が暮れたので、中納言は大飯寮にいらっしゃってご覧になると、本当に、

 

燕が巣を作っていました。

 

倉津麻呂が申しあげたように、尾を上げて回っているので、荒籠に人を座らせて、

 

吊り上げさせて、燕の巣に手を差し入れて探させるけれど、

 

「何もありません」

 

と申し上げるので、中納言は、

 

「探し方が悪いから見つからないのです」

 

と腹をお立てになって、

 

「誰かが見つけてくれると思ったのに※1

 

と言って、

 

「わたしが、上って探ろう」

 

とおっしゃって、籠に乗って吊り上って、窺いなさると、燕が、尾を高く上げてせわしく

 

回すのに合わせて、手をお差し入れになって探りなさると、手に平らな物が触れたとき、

 

「わたしは、物をつかみました。すぐに下ろしなさい。翁※2、やりました」

 

とおっしゃったので、集まって、早く下ろそうとして、綱を引きすぎて、綱がきれて即座に、

 

八島の鼎(やしまのかなえ)※3の上に、あおむけざまに落下なさいました。

 

 

燕の子安貝 (三)

 

竹取物語
(原文:角川ソフィア文庫 新版 竹取物語より)

 

 

 

訳注
※1 原文:誰ばかり覚えむに

 

   「ばかり」を予期する(計り) 「覚えむ」を明らかにする と、解釈しました

 

   いざ自分で訳してみると、難しい

 

※2 倉津麻呂のこと

 

※3 鼎は飲食物を煮炊きする三本足の金属製の釜。八島は日本国を指す

 

   八島の鼎とは、神へのお供え物専用の煮炊き釜と思われる

 

 

中納言は、倉津麻呂というよい助言者を得て計画を変更します。

 

その甲斐あって、離れていった燕は戻ってきました。

 

何回目かのチャレンジの後に、とうとう中納言自らの手で、何かを掴みます