竹取物語 現代語訳 竜の頸の珠 (四)

竹取物語 現代語訳 竜の頸の珠 (四)

訳者まえがき

 

ここに掲示されている訳は「逐語訳」です。

 

直訳に近いので、不自然な文章になっている部分があるのはそのためです。

 

高校生時代の授業の記憶や古語辞典を頼りに訳しています。

 

 

竹取物語 五つの難題・竜の頸の珠 第四回です。

 

 

本文
郷里に仰せになられて、手輿(たごし)※1を作らせになさって、うめきながらも※2

 

輿にお乗りになって家にお入りなさると、どこで聞きつけたのか、お遣わしになった

 

男たちが参上して申し上げることには、

 

「竜の頸の珠を取れないうちは、主君のもとへ参上もできませんでした。

 

珠の取ることの難しさをお知りになられたなら、お咎めもないだろうと思って

 

参上いたしました。」

 

と申し上げます。

 

大納言は、上体を起こしておっしゃることには、

 

「お前たち、よく持ってこなかった。竜は雷鳴の類だったのです。

 

その珠を取ろうとした、それらの人々は被害を受けるに違いない。

 

まして、仮に竜を捕らえたならば、こともなく、わたしは被害を受けただろう。

 

よく捕らえずにいました。

 

かぐや姫という大盗人※3の奴が、人を殺そうとしたのです。

 

あの家の周辺をさえ、今は通らない。

 

あなたたちもあの家の近くを歩かないでください。」

 

と言って、家に少し残っていた財を、竜の珠を取ってこれなかった者たちに賜りました。

 

 

このことを聞いて、暇を出された先妻は、腹を抱えて大笑いなさいました。

 

糸を葺かせて作った新居は、鳶・カラスに巣材として、みな持っていかれました。

 

世間の人が言うことには、

 

「大伴の大納言は、竜の頸の珠を取って来ていらしたのですか?」

 

「いいえ、そうではありません。両目に、スモモのような珠をつけていらっしゃる」

 

と言うので、

 

「あな、たべがた※4」と言っていたことから、とても耐えられないことを「あなたへがた」と

 

言い始めるようになりました。

 

 

燕の子安貝 (一)

 

竹取物語
(原文:角川ソフィア文庫 新版 竹取物語より)

 

 

 

訳注
※1 てごしとも読む。前後二人で手で腰のあたりまで持ち上げて運ぶ輿のこと

 

※2 原文:によふによふ(呻吟ふ呻吟ふ)

 

※3 人をののしる言葉で、泥棒の意味ではない

 

※4 「食べ難い」と「堪え難い」の掛詞。食べたくない、という意味と

 

   (笑いを)耐え難い、という意味を掛けている

 

 

重い病にかかって戻ってきた大伴の大納言。

 

それを見計らって帰ってくる家来たちのしたたかさ。

 

大納言は竜の頸の珠を取る無謀さを反省するものの、かぐや姫の悪態をつきます。

 

この失敗を世間は笑い話として楽しみます。

 

とても人間臭さにあふれたパートです。