竹取物語 現代語訳 竜の頸の珠 (一)

竹取物語 現代語訳 竜の頸の珠 (一)

訳者まえがき

 

ここに掲示されている訳は「逐語訳」です。

 

直訳に近いので、不自然な文章になっている部分があるのはそのためです。

 

高校生時代の授業の記憶や古語辞典を頼りに訳しています。

 

 

竹取物語 五つの難題・竜の頸の珠 第一回です。

 

 

本文
大伴御行(おおとものみゆき)の大納言は、我が家のすべての者を集めて、

 

おっしゃることには、

 

「竜の頸(くび)に五色に光る珠があります。それを取って参ってきた人には、

 

願うことを叶えよう」

 

とおっしゃいます。

 

お仕えする男たちは、ご命令を承知致して申し上げることには、

 

「仰せのことは、とてもありがたいことでございます。しかし、この珠は、簡単に取ることは

 

できないでしょう。

 

言うまでもなく、竜の頸にある、珠はどうやって取ればよろしいでしょう」

 

と抗弁申し上げました。

 

大納言はおっしゃいます。

 

「主君に仕える者というのは、命を捨ててでも、主君の命令を叶えようと考えるべきです。

 

この国に無く、天竺・唐土の物でもありません。

 

この国の海や山から、竜は天から降りたり昇ったりするものなのです。

 

どういう考えで、おまえたちは、難しいと申し上げるのか」

 

 

男たちが申しあげるには、

 

「それならば、しかたがない。

 

難しいものであっても、ご命令に従って、求めに参りましょう」

 

と申し上げるのを、大納言は、それを見てにやりと笑って、

 

「おまえたちはわたしに仕える者として、評判が流れています。

 

主人の命令に、どうして背けるだろうか」

 

とおっしゃって、竜の頸の珠を取りに、出発させなさいました。

 

この人たちの道中の食料と、食料のための、家の中の絹・綿・お金など、

 

ある限り取り出して、支給して遣わしました。

 

「この人たちが帰って来るまで、斎い(いもい)※1をして、

 

わたしは服しているつもりです。

 

この珠を取って来られないうちは、家に戻ってきてはいけません」

 

とおっしゃられました。

 

 

各自承知致して出発しました。

 

「『竜の頸の珠を取って来られないうちは、帰ってくるな』とおっしゃるので、

 

どこへでも、足の赴く方へ行こう」

 

「このような物好きをよくもまあなさることだ」

 

と悪口を言い合いました。

 

支給いただいた物を、各自で分けあいました。

 

ある者は自分の家に籠ったり、ある者は、自分の行こうと思う所へと行きました。

 

「親・主人が申すことといっても、このような無理なことを仰せになっても」

 

と、納得できないので、大納言を悪口を言い合いました。

 

「かぐや姫を妻として迎えるには、この家のままではみっともない」

 

とおっしゃって、美しい家をお作りになって、漆を塗り、蒔絵※2を施した壁になさって、

 

屋根には糸を染めて彩り豊かに葺かせて、家の中のしつらいは、

 

言い表すこともできない綾織物※3の絵物語で、柱と柱の間ごとに飾りました。

 

元々いた正妻や側妾たちは、かぐや姫と必ず結婚する準備のため暇を取らせて※4

 

独りでお暮しになられました。

 

 

竜の頸の珠 (二)

 

竹取物語
(原文:角川ソフィア文庫 新版 竹取物語より)

 

 

 

訳注
※1 心身を清め、慎むこと

 

※2 漆を塗り、金粉・銀粉や金貝・摺貝などで絵模様を描き、磨いてつやを出したもの

 

※3 いろいろな模様を織り出した絹織物

 

※4 大伴御行から離婚を切り出したのかそれとも、三下り半を突き付けられたのか

 

 

五つの難題・4番手は大伴御行・竜の頸の珠です。

 

家来に命令して無理やり取りに送り出しますが、家来は無理難題に文句の大合唱。

 

当の本人は結婚後の生活を夢見て家を整え始めます。

 

大伴御行の妻妾たちは家から出て行ってしまいます。