竹取物語 現代語訳 火鼠の皮衣 (二)

竹取物語 現代語訳 火鼠の皮衣 (二)

訳者まえがき

 

ここに掲示されている訳は「逐語訳」です。

 

直訳に近いので、不自然な文章になっている部分があるのはそのためです。

 

高校生時代の授業の記憶や古語辞典を頼りに訳しています。

 

 

竹取物語 五つの難題・火鼠の皮衣 第二回です。

 

 

本文
その皮衣が入っている箱を見ると、様々な美しい瑠璃で美しく彩って、作ってありました。

 

皮衣を見ると、金青※1の色でした。

 

毛の先端は、黄金に光り輝いていました。

 

宝と見え、美しさは、比べられるものはありません。

 

火に焼けないことよりも、清らかで美しいさまは限りありません。

 

「なるほど、かぐや姫がお好みになられるだけはある」

 

とおっしゃって、

 

「ああ、ありがたい」と言って、箱にお入れになって、贈答の枝※2をつけて、

 

阿部御主人(あべのみうし)ご自身も化粧を念入りにして、そのまま泊まってしまおうと

 

考えて、歌を詠み入れて、持参いたしました。

 

その歌は、

 

 

かぎりなき 思ひに焼けぬ 皮衣 袂かわきて 今日こそは決め♯1

 

 

と詠みました。

 

 

家の門に持ってきて、置きました。

 

竹取の翁は、出てきて箱を取り入れて、かぐや姫に見せました。

 

かぐや姫は、皮衣を見て、言うことには、

 

「美しい皮衣ですね。それはそうとして本物の皮衣かどうかわかりません」

 

竹取の翁は、答えて言うことには、

 

「とにかく、まずお受け取りください。

 

この世のものとは見えない皮衣のようなので、これを本物と思ってくだされ。

 

人を困らさせないでください」

 

と言って、呼んで側に座らせなさいました。

 

このようにたしなめて、今度こそ結婚させようと、媼(おうな)の心でも思っていました。

 

この翁は、かぐや姫が独身でいるのを嘆いていたので、よい人に嫁がせようと

 

考えていたけれど、そのたびに「嫌です」と言っていたので、

 

強いてでもしないとしないだろうというのが、理由でした。

 

 

火鼠の皮衣 (三)

 

竹取物語
(原文:角川ソフィア文庫 新版 竹取物語より)

 

 

 

訳注
※1 紺青とも

 

※2 仏の御石の鉢・※4と同じで贈答の品に添える季節の草木の枝のこと

 

♯1 思ひに焼けぬの“ひ”は「い」と「火」の掛詞

 

   歌の意味
   「かぐや姫を思う気持ちにこがれて火に燃えない皮衣を手に入れることができ、

 

   苦労に濡れた袂も乾きました。今日こそ、その皮衣を着てくださいね」

 

 

唐土から届けられた火鼠の皮衣はとても美しいものでした。

 

でもかぐや姫は庫持の皇子に騙された経験から、もう見た目には騙されません。

 

竹取の翁だけでなく、媼もかぐや姫になんとか結婚してほしいと願っていることがわかります。